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「迷子になったのは、逆にオレだったけどなっ。スレイ、食べようぜ。姫ばあちゃんの卵焼き、おいしいんだ。ほら」  オレは卵焼きを一切れつまんで、食べてみせる。それからもうひとつ、つまんでスレイに差し出すと、スレイは卵焼きをオレの指先ごとパクっと食べた。  あわてて手を引っ込めたけど、スレイの唇の感触が指先に残った。胸がドキドキした。 「ん~~~!」スレイの瞳がキラキラと輝く。ドキドキが加速する。 「うっ、うまいだろ! ばあちゃんの卵焼きは世界一だからなっ」  オレはドキドキを隠して、はっはっはと笑った。スレイは口元を両手でおさえて、くくくっと肩を震わせた。  オレ達の笑い声にこだまするように、「くすくす」と笑い声がどこからか降ってきた。パッとクルンを見ると、自分じゃない、というようにくちばしをイヤイヤと振った後、羽根の中に頭を突っ込んだ。 「しいっ! 見つかった」  スレイが人差し指を唇にあてた。 「見つかったって、誰に?」  ヒソヒソ声でスレイに聞くと、スレイは残っていた卵焼きをつまんで口にすばやく放り込むと、高速でもぐもぐ噛んで飲み込んでから、やっぱりヒソヒソ声で答えた。
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