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「遺跡の魔物『コン・ティン』。彼女の笑い声、人の魂を狂わせ、奪う」 「遺跡の魔物って……?」 「遺跡に、封じられてる」 「オレ、笑い声聞いても平気だよ? スレイも平気だったよな? きっと、魂を狂わせ奪うっていうのは、迷信だよ」  オレは現代日本人として、スレイを科学的に諭した、つもり。だけどスレイは首を横に振った。わかってないなぁ、というみたいに。 「迷信、ちがう。ケントは異国の人。コン・ティン、知らない。知らない人には、魔力が効かない。わたし、遺跡を守る一族。お母さんからデバターの魂、受け継いでる。だから、平気」 「コン・ティンは遺跡に封じられているんだろ? だったら……」 「封じの魔術、永遠にはもたない。二十七年ごと、コン・ティン、封じ直す」 「へえー。それで、前回はいつだったの?」 「二六年と三百六十四日前」 「は?」 「二六年と……」 「いやいや、それって、もうすぐ封印が切れちゃうってこと?」 「ウン」 「帰ります」 「待って! ケント、異国の人。コン・ティン、信じてない。ダイジョブ」 「もう聞いちゃったし。なんならちょっと、コン・ティン信じちゃったし!」 「ダメ?」
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