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――不気味っていうより、マジで怖いよ! 封印が解けてしまえば、コン・ティンが逃げ出して、どこかの誰かが狂って、魂を奪われることになるのかもしれない。だけどオレはただの日本人だし 「ケント……」  スレイの手がだらんとオレの頬から滑り落ちる。  クルンがスレイの周りをグルグル回りながら、抗議するように鳴きはじめた。ギャギャギャっという耳障りなチェーンソーの音、車の防犯ブザーの音、カメラのシャッター音。スレイの泣き真似だけじゃなく、物まねが得意らしい。あえて耳障りな音ばかりを選んで出している。 「クルン、もういい。ケント、卵焼き、ありがと」  スレイが背中を向ける。小さく震えて……。 『うっ、ひっく』  押し殺した泣き声が聞こえてくる。 「スレイ」 『うくっ、ひくっ』 ――女の子の涙のお願い、断れるヤツいる? いないよな? 「ああーっ、もうっ! わかったよ」 「やってくれる?」 「やる。やればいいんだろ? だからもう泣くな」  クルッと振りかえったスレイは、ふわっと笑った。全然、泣いてない。 ――あっ! あの、鳥のヤツか! また騙された!
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