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 そろそろと足を踏み入れた遺跡の中は、昼間なのに薄暗かった。電灯はないから天井の隙間からの陽光が頼りだ。目が慣れてくると、ようやく壁に彫ってある彫刻や装飾が見えてきた。  振り返ると、クルンがピュウっと口笛を吹いた。調子のいい奴!  暗い遺跡の中を、スレイは迷わずに歩いて行く。手には鉈を持っている。 「そういえばさ、封印ってどうすればいいんだ?」 「知らない」 「ははっ! 冗談! スレイがさっきのゴニョゴニョッていうのを唱えればいいんじゃないの? バルス! とかさ」 「封印の呪文、ない」 「嘘だろ? じゃあ、どうやって封印するんだよぉ?!」 「ケント、封印する」 「だから、オレは無理だって……」  オレとスレイは同じ会話をぐるぐる繰り返した。普通の小学生のオレに、魔物の封印をするなんて出来っこない。スレイの鉈で倒せって言われたとしても、もっと無理だけど。 「なあ、どこに向かってるんだ?」 「もう少し」 「もう少しってあとどのくらい……」 『くすくす』『くすくす』『だれかきた』『身の程知らず』『あそんであげる』『さあ、おいで……。こっちだよぉ』『くすくす』『くすくす』『くすくすくす……』
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