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 スレイが言いかけたとたん、地響きがし始めた。 『封印などさせぬ』  廊下を走り抜け、突き当りを曲がると、ひらけた場所に出た。中庭だ。ものすごく大きな立っている。枝から枝が垂れ下がり、幹になり根になっている。遺跡に絡み付いている樹と、たぶん、同じ。ガジュマルだ。 「あった! コン・ティンのヤドリキ」 「ヤドリキ……って、なに?」 「棲み家よ。あの木を切り倒す、コン・ティン、力、失う」 「封印するんじゃなくて?」 「封印の方法、分からない。切る!」  スレイは鉈をオレに差し出した。 『待って! 切らないで。お願い』  コン・ティンが木の枝から飛び降りて姿を現した。褐色で緑がかった肌、緑色の髪の女の人だ。ついでにいうなら、抜群のプロポーション。もっとついでにいうなら、葉っぱで出来た服はかなり、露出度高めだ。 「コン・ティン、人の魂、惑わせ奪う者よ!」 スレイの凛とした声が響き渡る。なのにコン・ティンはスレイに見向きもせず、オレを見つめ、にこっと笑いかけてきた。コン・ティンは美人だけど、それだけじゃない。なんというか、心に扉があったら、どんな頑丈な鍵も開けて入ってきちゃいそうだ。 ――うわ。オレも魂、抜かれそう 「この者、ケントを主とし、その命を聞け。さもなくば、ヤドリキ、切り倒す!」  スレイが言い放つ。
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