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「え? オレ? スレイの方がいいんじゃないの?」スレイにコソっと耳打ちする。
「ダメ。わたしの中のデバター、コン・ティンと相性、悪い」
『我が主を名乗るなら、その力を示せ!』
「ねじ伏せて!」と、スレイがオレに叫ぶ。
――ん? ねじ伏せろってどういう意味……
考える間もなくスレイにコン・ティンの前に押し出される。
「ええっ?!」振りかえると、スレイが「ファイト!」とパンチするジェスチャーを送ってくる。
――ええええええーっ! た、戦うの?
「待って待って。女の人を殴れないよ」
『ふうん。やさしいんだね』
「相手、魔物よ!」
スレイはそう言うけれど、髪と肌が緑色なだけで、ただの綺麗な女の人だ。しかも露出度高めの。
戸惑っていると、コン・ティンはオレの目を覗き込んできた。
くらくらして吸い寄せられるように、フラフラと近づいてしまう。
「ケント、魅了されてる!」
スレイの声に我に返ると、目の前にコン・ティンの大きく開いた口があった。胸から魂が抜けかかり、コン・ティンの口に吸い込まれそうになっていた。
「あっぶねー!」
魅了が解けると、何事もなかったように魂はしゅるんと僕の胸にもどった。
「ちっ」
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