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コン・ティンが舌打ちして、今度はオレの首に手をかけた。ぐいぐい締め上げてくる。――く、くるしい……
コン・ティンの主人にならなくてもいいけど、魂を奪われるのはかなりマズい気がする。
「ケントぉ」
スレイが鼻声になる。
コン・ティンの指が喉に食い込み、オレは返事が出来なかった。目で大丈夫だと伝えようとしたけど、意識が薄れ魂がすうっと抜けていく。
――マズい。このままだと本当に魂を抜かれる。
抵抗しようとしたけど、指にさえ力が入らない。
スレイがすうっと息を大きく吸い込んだ。黒い瞳に強い意志が宿る。
両手を胸の前で組み、呪文を唱え始めると、胸の中が赤く光り始めた。ぽうっと丸い光がだんだん強まっていく。
――まるで、妖精みたいだ……これがデバター?
と、見惚れている場合じゃなかった。
スレイの首の後ろから、赤い線が伸びてくる。赤い線から、ピッと頬に赤い飛沫が飛んできた。
オレは無意識に手で頬を触る。ぬるりとした感触。
「血、血だ……」
「ケント、目、つむって!」
スレイが叫んだ。
「お願い!」
『チュォイポーン!』
クルンが鳴いた。
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