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「黙ってたわけじゃないよ。あの技は、とっさに出ただけなんだ。カポエイラっていうんだけど、格闘技だけど技をあてないし、勝負もつけない。踊るように戦うから、カポエイラのこと、戦うために使うって思ってなかっただけ」
「ふうん」
スレイはなんとなく納得したのか、にこっと笑った。まっすぐ見つめられて、心臓がドキンと強く打つ。
「ケント、ありがと! かっこよかった!」
「え、えーと、コン・ティンはもう封印しなくてもよくなったんだよね?」
「悪さをしないと誓わせれば」
「わかった。コン・ティン……」
「誓います。主に」
「うん。じゃあ、そろそろオレ、帰らないと」
スレイが寂しそうな顔になったから、目をそらした。
「コン・ティン、道を作って」
スレイがコン・ティンに命じる。
『はあ? うちは我が主の命しかきかぬ』コン・ティンがそっぽを向く。
「はあっ?! ケントにヤドリキを切り倒してもらうよ!」
『我が主はそんな無慈悲はせぬ。バカめ』
「バカぁ~!?」
「まあまあ、スレイ。オレが頼んでみるよ。コン・ティン、道を作って?」
「御意のとおりに」
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