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メストレが技を読み違えたら怪我をしそうなレベルだ。
カポエイラは試合する人を囲み、音楽を奏で歌いながら観戦する。タンバリンに似た楽器、パンデイロの音が激しく二人をあおる。二人の技の攻防に、仲間の熱が上がっていくのを感じる。
――あれ? パンデイロの奏者、誰だ?
奏者に目をやると、口元に笑みを浮かべている。スパンコールの付いた鮮やかな赤みがかったピンク色のTシャツは、すそが縛られてお臍見えてる。それに裾がすぼまったアリババパンツ。シューズは履いてない。裸足だ。髪が緑色で、褐色の肌は緑がかっている。
「あっ、アイツ……!」
オレが小さく叫ぶと、奏者の彼女がオレに気が付いて、艶やかに流し目を送ってきた。その目が光を放っている。
――コン・ティン! なにしてんだ
ヤ・メ・ロと口パクして、にらみつけると、コン・ティンはちょっと肩をすくめた。目の光が蝋燭の火を吹き消したみたいにすうっと消えた。
そのとたん、プロフェッソールがハッとして、目をキョロキョロ泳がせた。
一瞬を逃さず、メストレの足がプロフェッソールの足を絡めとり引き倒した。
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