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――スレイは大丈夫かな……?  不安がモヤッと胸に広がり、走るスピードを上げた。  土の地面がレンガで出来た床に変わった。クルンは舞い降りて、羽を広げてバサバサと羽ばたきながら数歩、歩いた。到着したってことみたいだ。 「うえ。なんだよ、これ」  目の前に広がる大きなため池は、大量の血を溶かし込んだように真っ赤だった。スレイが池を覗き込んでいる。 「スレーイ!」  大きな声で呼びかけると、スレイはパッと立ち上がって駆け寄ってきた。 「ケント!」  スレイがギュッとオレの首に抱きつく。南国のフルーツの香りがふわっと鼻をくすぐった。 「ケント、見て!」スレイが池を指差す。 「あ、うん」スレイの横で、オレも池を覗き込む。「水が赤い……ね?」 「ホントは、水、真っ青」  スレイの目に涙が浮かび、真っ赤な湖にポツっと落ちた。小さな波紋が広がる。涙ひとしずく分だけ赤色を薄めて。 「誰かが蛇、狂わせた。ナーガは悪しきものから遺跡を守る守護神。池の水、汚す。絶対ない」  スレイが苦しそうに言葉を吐き出した。 「蛇はどうやって水を赤くしたんだ?」と、言いながら水に手を伸ばした。 「あっ! ダメ!」
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