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スレイの叫び声が響く中、コン・ティンの蔓がオレの胴に巻き付いた。そのまま空に押し出されるように、飛んだ! ブランコを思い切り漕いで、ジャンプしたときみたいな浮遊感。地面がどんどん遠のいていく。
「こ、怖えっ!」
ナーガに近づくと、三階建ての家ほどもある。ここが空中じゃなかったらきっと腰を抜かしてる。しかも下は真っ赤に染まった毒の水だ。
――水に落ちたら……
死。ぶるっと体が震えた。指先で触ろうとしただけで、危ないと二人に止められたのに。
――考えちゃダメだ! 赤い鱗だけを見るんだ。
オレは奥歯を噛みしめた。
「コン・ティン、まっすぐオレを投げろ!」
「御意」
「ダメーッ!」スレイが叫んだ。
けれどコン・ティンが言うことを聞くのは、オレの方だ。腰に巻き付いていたコン・ティンの蔓がうねって空中で跳ね上がり、オレはブンっとナーガに向かって投げ出された。
「フォーリャパラフーゾ!」
オレは空中でカポエイラの技を繰り出した。
体をドリルのように回転させながら、赤い鱗に蹴りを放つ。
「ヤァッ!」
鱗に刺さっていた何かの欠片を、右足のつま先でバシッと蹴る。ナーガに刺さっていた欠片が抜けてはじけ飛び、クルクル落ちていく欠片を、手を伸ばしてキャッチした。
「よし!」
――けど、オレ、落ちてるーーーーーー!
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