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パチッと目を開けた。目に入ってきたのは自分の部屋の天井。いつもと変わりない朝。
だけど……、夢の中でオレを呼ぶ声を聞いた……気がする。最近、毎晩だ。夢の内容は覚えていない。
――なんか、胸の中がもやもや黒い霧がかかったみたいな感じがするんだよなあ
オレは起き上がると、机の上に置いてあるナーガの鱗にささっていた欠片を手に取って、しげしげと眺めた。欠けた湯呑みとか茶碗に似ているけど、目みたいな模様がある。
――これのせいとか?
『聞け……我の声を……』
「うわっ!」
思わず欠片を投げ出した。欠片はコロコロとフローリングの上を転がっていく。
「なななな、なんだ?」
おそるおそる欠片を拾う。ひっくり返してあちこちから眺めても、ただの欠片だ。耳元でシャカシャカ振ってみる。なにも聞こえない。
「空耳……?」
「ケント―、起きて! 遅刻するよ!」
こっちは間違いなく、お母さんの声だ。
「今行く!」
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