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 オレは欠片をポケットに突っ込むと、階段を駆け下りた。先にテーブルに座っていた姉ちゃんが、オレをチラッと見た。 「ケント、夜うるさいよ。受験勉強してるから、静かにして。日之出高(ひのでこう)に落ちたらケントのせいだからね」 「なに? ケント、夜にゲームでもしてるの?」  お母さんが聞きつけて、口を(はさ)んできた。 「いやいやいや、ゲームなんかしてないって!」  まったく身に覚えがないオレは、ブンブン首を振った。 「最近、変な夢みてるみたいでさ」 「夢?」  姉ちゃんが首を傾げる。ポニーテールがサラっと流れる。古風なセーラー服のリボンも揺れる。 「じゃあ、アレって寝言なの? すごい大きな寝言だねー」  姉ちゃんがクスクス笑って、パンをパクリとかじった。よかった。姉ちゃんの怒りは静まったみたいだ。  お母さんが卵を長方形の卵焼き器にコンコンと割り入れた。白身と黄身を混ぜて伸ばし、その上にスライスチーズとベーコンを散らして、コショウをふる。下側が固まって、上がとろりとしている状態になったら二つ折りにする。それをフライパンからするりと滑らせてパンにオン! 大好物のチーズ卵パンだ。  ケチャップをチー卵にかけていると、テレビから「アンコール遺跡」という単語が聞こえてきた。 ハッと耳をそばだてる。 『では、次です』
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