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 動揺しまくりの亮を無視して、コン・ティンがオレの腕に腕をからめた。道路と歩道の境に植えられているポプラの木に手をかざすと、枝から根が垂れ下がり、幹が穿たれた。 「ちょっちょっと、待って」と足を踏ん張った。 「いえ、申し訳ありませんが、待てません」  斜め45度に体が傾いたオレを、コン・ティンはぐいぐい引っ張って引きずっていく。 「ご、ごめん、亮。あとで、あとで説明するからーっ!」  オレは、コン・ティンのヤドリキの根で出来たカーテンに頭を突っこんだ状態で叫んだ。 「わ、わかった。あとでちゃんと説明しろよー! あ、ケント、なんか落としたぞー」  亮がアスファルトにかがみこむのが、チラッと目に入った。手を伸ばした先にあるものは……。オレはポケットに手を突っ込んでまさぐった。ない!っていうことは……、 ――ナーガの鱗に刺さっていた欠片だ!  コン・ティンに引っ張られたときに落としたらしい。 「それ、捨ててくれー!」  オレは叫んだけれど、亮には聞こえなかったかもしれない。
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