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 コンティンに手渡された、タプロームの服に着替え、木の枝が作っている長い長いトンネルを走っていくと、ふいに濃い大きな緑の葉が視界いっぱいに広がった。うるさいほどの鳥の鳴き声。甘い香りと熱気に包まれる。もうお馴染みになった熱帯の空気だ。 「ケントっ!」  ピョンッとスレイが首に飛びつくと、コン・ティンはスレイが苦手だからか、すっと離れた。 「スレイっ! 何かあった?」 「わたし、平気。でも……」 「でも?」 「井戸、壊れた」 「あっ、ニュースでやってたやつだ! 井戸から壊れた仏像が出て来たって」 「神聖な仏像、壊されてた。ラーフが意志を失った仏像の欠片、手に入れるため、壊した」 「ラーフ?」 「頭部だけの不死身の魔物。完全体になるために、不老不死の霊薬、アムリタを探してる」 「もしかして、ナーガの鱗に刺さっていたのは」  スレイがうなずく。 「ラーフが仏像の欠片、触媒(しょくばい)にして呪い、かけてた」 「ケント」  ハッとして振りかえると、亮が立っていた。 「亮! なんでここに……」 「ひとりだけ、ズルいじゃん。こんな面白そうなところ、教えろよ」 「ヤドリキは閉じていたはずなのに、どうやって」 「ああ……。お前が落とした欠片が、道を教えてくれたんだ」
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