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スレイとオレは隠れたり姿をわざと見せたりしながら、亮を中央祠堂におびき寄せていく。
ようやく辿り着いた中央祠堂は、天井がなく、網目になっている壁からは、細かな光が漏れて来ている美しい場所だった。
亮が駆け込んできたところを、すかさず足元に滑り込み、足を絡めて倒す技「ハステイラ」をかける。
「よし!」
亮が倒れ込んだところに、スレイが上に飛び乗った。馬乗りになると、すばやく三つ編みをほどく。
亮の額に指先をあて、呪文を唱える。スレイの胸のあたりが、ぽうっと光りはじめた。髪がふわっと浮き上がる。
スレイは両手を組むと、頭の上に振りかざし、亮の胸を組んだ両手でドンッと叩いた。鐘を鳴らしたみたいなボワンという大きな音が、祠堂に反響した。
「タウッ!(行け)」
スレイの鋭い掛け声とともに、亮の口から黒いどろッとしたものが流れ出た。ゴホッゴホッと亮が咳き込む。
「痛ってえ」
「あ、もどった! 亮、よかったー」
「な、なにここ?」
「ここ、中央祠堂。胸を叩いた聖なる音、増幅して体の中の悪しきもの、追い払える場所」
スレイは得意気に説明してるけど、言葉の分からない亮は聞いちゃいない。キョロキョロして、パニックになってる。
「ここ、どこー? 暑いんだけどー! っていうかオレ、なんで裸っ?!」
「アハハ! そういや、そうだね。鬼ごっこしている時に、暑いから脱いだんだろうねー」
「覚えてねー!」
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