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『け……我……声………聞け……我……探せ……探……』
どこか遠くで、誰かが何か言ってる……けど……。
「うっせえ……。オレは眠いんだよ。黙ってろ!」
夢うつつに怒鳴り返し、オレは睡眠の世界にふたたび戻ろうとした。覚醒しかかっていた意識がすうっと眠りに落ちて……。気持ちよく眠れそうだと思った時、肩を掴まれて体をゆさゆさ揺さぶられた。
「ケント、ケントっ! 大丈夫? 起きてぇ……」
女の子の涙声。クスンと鼻を鳴らす音。女の子を泣かせるなんて嫌だけど、可愛い声で起こされるのは悪くないなあ、なんて思っていたら。
「おいっ、起きろーーーーー!」
さらに大音量が耳の中に直接響き、コツコツ頭を小突かれた。
「痛ってえええっ! なんだよ、さっきから! 耳元で怒鳴るなあっ!」
耳がキーンとなるわ、頭をとがった何かでつつかれるわで、さすがのオレも重たいまぶたを持ち上げた。叫んでいたのは亮だ。そしてオレの顔の横では、頭をツンツンしていた犯人、クルンが羽根をパタパタさせている。
「ケントー! よかったあ」
スレイが涙でくしゃくしゃの顔を手の甲でゴシゴシこすっていた。
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