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「あははっ」と笑うオレを、スレイはまだ心配そうに、まつ毛が触れるほど顔を寄せて、覗き込んできた。顔を動かしたら唇が触れてしまいそう。近すぎて、ドキドキする。
「だ、大丈夫。今はなんともないし」
スレイに答えながら、そういえば、ねえちゃんにも大きな声の寝言を言ってるって言われたっけ、と思い出した。
「夢で、何か言われてたような……」
オレは頭をガシガシ掻いた。なんと言われたのか、思い出せそうで思い出せない。
「あっ! それ、オレも聞いたかも!」亮がオレの手をつかんで、手のひらを開かせ、耳を手のひらにあてたり、左右に振ったりする。「アレ、きっとアレのせいだよ!」
「アレって……、アレ?」
「あっ、もしかして、仏像の欠片?」スレイが首を傾げる。
「そう! アレを拾ったら頭がボーっとして、自分が自分じゃないみたいになっちゃったんだ。でも、ケントは違うみたいだな? 手に潜り込んじゃったんだから、もっと強力なパワーがありそうだけどなあ?」
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