3/14
前へ
/155ページ
次へ
 「あははっ」と笑うオレを、スレイはまだ心配そうに、まつ毛が触れるほど顔を寄せて、覗き込んできた。顔を動かしたら唇が触れてしまいそう。近すぎて、ドキドキする。 「だ、大丈夫。今はなんともないし」  スレイに答えながら、そういえば、ねえちゃんにも大きな声の寝言を言ってるって言われたっけ、と思い出した。 「夢で、何か言われてたような……」  オレは頭をガシガシ()いた。なんと言われたのか、思い出せそうで思い出せない。 「あっ! それ、オレも聞いたかも!」亮がオレの手をつかんで、手のひらを開かせ、耳を手のひらにあてたり、左右に振ったりする。「アレ、きっとアレのせいだよ!」 「アレって……、アレ?」 「あっ、もしかして、仏像の欠片?」スレイが首を傾げる。 「そう! アレを拾ったら頭がボーっとして、自分が自分じゃないみたいになっちゃったんだ。でも、ケントは違うみたいだな? 手に潜り込んじゃったんだから、もっと強力なパワーがありそうだけどなあ?」
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加