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そう言うと、また欠片の声がはっきりと聞こえた。
『では、その娘のデバターを目覚めさせよ』
「はぁ? 何言ってんだ? そんなことしたら、スレイがデバターに乗っ取られちゃうだろ! もうお前は、眠ってろ!」
オレは欠片の提案にムッとして、手をギューッと握りしめた。
『ま、待て! 止めろ。通信を切るな。その娘の中のデバターのみが、アムリタの場所を知っているのだぞ!』
「はぁっ?」
頭が混乱してきた。スレイをデバターから解放するために、アムリタを探したい……のに、アムリタの場所はデバターだけが知っている。
デバターを目覚めさせたら、スレイは消えちゃうし、そもそもデバターの使命はアムリタを守ること……。アムリタの場所を知っていたとしても、絶対に教えてくれっこない。
「あーっ! どうすりゃいいんだ?」
『我にまかせよ』
「お前みたいに怪しいやつにまかせられるわけないだろ。あ、そういえば、お前、誰なんだよ?」
『我が名はラーフ』
「ラーフって……」
――聞き覚えのある名前だけど、なんだったかな?
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