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コン・ティンの言うことももっともだ。ラーフの欠片を追い出せば、消えてしまうならそうした方がいいのかもしれない。
だけど、オレは妙に偉そうなラーフの欠片がちょっとかわいく思えてきた。浄化されているから、悪さをすることもなさそうだ。なにかあったらすぐ追い出せばいいだろう。
オレは考えをまとめると、うん、とひとつうなずいた。
「よし! 宝探ししよう。なっ! お前も協力しろ。貢献度によっては、アムリタを飲ませてやるかもしれない。でもなー、お前、ラーフが弱体化した、ただの意識のきれっぱしなんだろ? アムリタを飲ませてやろうっていう気になれるほど、何か貢献できるかなァ?」
『忘れたのか? 我は人を思い通りに動かすことができる』
途端に息を吹き返したように、偉そうに言う。だけどオレはわざとあきれ顔で首を横に振った。
「あのな、オレたちにはコン・ティンっていう仲間がいるの! コン・ティンには魅了っていう、魔力があるんだよね。だから、お前ができることがそれだけなら……」
オレは手をギューッと握りしめた。
『わ! ヤメロ! 止めぬか!』
ほんの少しだけ手の力を緩める。
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