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「じゃ、約束しろ。ひとつ、オレたちの仲間になる。ふたつ、デバターを目覚めさせず、アムリタを探す。みっつ、オレの言うことを聞く」
「あ、ケントずるいぞ! オレの命令も聞くように言えよ」亮が口を挟む。
「じゃあ、亮の言うことも……」
『それは出来ぬ』
「えーっ! なんでだよぉ」
『お前は我に一度支配されている。つまり序列でいうと、我よりも下ということになる。下の存在に従うことは出来ぬ』
「なんでだぉ~」
オレはにへっとほっぺたがゆるんでしまった。「なんでだよ」というのは、小学校に上がる前からの亮の口癖だ。だけど、口をとがらせて言うせいで「なんでだお」と聞こえるんだ。
亮は抗議しているつもりらしいけど、小さな男の子が可愛く拗ねているようにしか聞こえないから、抗議の効果はまったくない。本人はそのへん、わかってないみたいだけど。
「ははっ! 悪いな、亮」
「だってさ、ケントばっかズルいよ。コン・ティンさんにも『我が主』とか言われちゃってさあ」
亮は恨めしそうにブツブツ言う。オレが何か答える前に、欠片が嬉々とした声をあげた。
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