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『おお、お前のそのなんともちっぽけで嫉妬に満ちた気持ち、居心地がよさそうだ。従いはしないが、お前に引っ越してやってもよいぞ!』 「わあっ! それはやめて!」  亮が悲鳴をあげて、ブルルっと震えた。コン・ティンもスレイもクスクス笑ってる。オレも一緒に笑った。 「そうだ! 欠片に名前をつけようぜ!」 『我が名はラーフ』 「本体と同じじゃ、紛らわしいだろ?」 「それに浄化、した。もうラーフ、違う」  そう言ったスレイの横顔は、とても綺麗だった。今までとは違うドキドキで体が熱くなる。 ――もうラーフじゃない、っていうことは、仲間として受け入れるっていうことだ。スレイは魔物にずっと悩まされてきたはずなのに、ラーフの欠片も、仲がよさそうとは思えない魔物のコン・ティンも、仲間として受け入れてる  スレイはかわいい女の子っていうだけじゃない。かわいくて、やさしくて、そして、心のおっきい女の子なんだ!  オレは大きく息を吸い込んで、手のひらを目の前に広げ、欠片に向かって言った。 「よし! お前はムオイだ!」 『なんだ、そのムオイというのは?』
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