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 ……あー、ただ、まあ……、村の家をほとんど全部、樹の枝でなぎ倒したり、枯れ枝を水路に詰まらせて水をせき止めたりしたのは、ほんのちょーっぴり悪かったかも。でも、ほんのちょっぴりだけね! ……それなのに、あのデバターの奴ったら! あいつのせいで、うちの暮らしは完全に崩壊したんだ。  封印される前のある晴れた日のことを思い出し、うちは苦い思いを噛みしめた。  うちが災いを起こしすぎるっていう理由で、スレイの先祖が、デバターを目覚めさせ、うちを御神木(ごしんぼく)に封印したんだ。そのせいで、うちはそれから何十年も樹の外に出られず、ひとりぼっちで誰とも話せず、何も食べられなかった。うちがやったことに比べたら、罰が重すぎると思う。  我が主が助け出してくれなければ、また封印され、今もなお、昼も夜もない退屈な時間を延々と過ごしていたはずだ。ひとりぼっちの退屈は、もう飽きた。
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