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 だけどうちに言わせれば、魔物が真実を語るほうが珍しい。我が主の手を握った時には、ムオイに邪心は感じられなかったけど、巧妙に隠しているのかもしれない。だからムオイのことも信じてない。  浄化したとはいえ、もともとはラーフだ。信用できない。弱体化してたいして力もないなら、体からさっさと追い出して、息の根を止めてしまえばいいのにと思う。 『でも……我が主はそんなことはしない、ね……』  うちは樹の上に腰掛けて、夕焼けを眺めた。鮮やかなオレンジ色がだんだん暗くなっていく。  眺めていたらなんだか寂しくなってきた。ひとりぼっち。そんな気持ちになる。夜空を見上げてひとりぼっちでさまよっていた時みたい。木の枝からぶらんとたらしていた足を引き上げ、そっと膝を抱える。それだけじゃ闇に吞み込まれてしまいそうな気がして、うちは膝をぎゅうっと強く抱きしめた。  夕焼けのオレンジ色がほとんどなくなった頃、樹の下から我が主の声が聞こえてきた。 「おーい! コン・ティーン」  はっと樹の下を見ると、我が主が手を振っていた。我が主のまわりだけ、スポットライトがあたっているみたいに明るく輝いて見える。
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