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 見たことのない景色に思わずつぶやくと、女の子が答えた。 「タプローム」 「タプローム?」と聞き返すと、ウンウンとうなずく。  それから自分の胸を指さして、「クニョム・チモホ・スレイ。ス・レ・イ」と言った。 ――なるほど、なるほど。たぶん、この子は「スレイ」という名前なんだろう。うん。そしてここはタプロームってことね。で、タプロームっていったいどこ? 「ええと。ケント。『仲間(なかま)ケント』」とオレも自分の鼻をさして答えた。聞きたいことは色々あるけど、まずは自己紹介だ。コレ、初対面の常識。特に相手が可愛い女の子だったらなおさらだ。  スレイはちょっと首を傾げると三つ編みをほどいて、頭を振った。髪がふわっと広がる。スレイの手が、オレの顔に伸びてくる。指先がオレの額に触れる。 ――わー! ちょちょちょちょっと待って。オレ、今、汗でベトベトなんだけど!  カワイイ女の子に、汗ばんだ額を触られるのは、かんべんしてほしい。だけど、手を払いのける訳にもいかなくて、目をギュッと閉じた。
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