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――そっか。超音波を使っているんだっけ
うろ覚えのコウモリの知識を総動員する。
みるみるうちに、コウモリ達が水族館のマグロの群れみたいな渦状になって、スレイとクルンを覆ってしまった。
「チュオイポーン(助けて!)」とクルンがスレイの声真似で鳴いた。
「助けなきゃ!」
クルンの声でスイッチが入り、オレと亮は勢いよく立ち上がった。亮を見るとカポエイラのジョ-ゴ(試合)の前みたいな、真剣な目をしてる。オレ達は目と目を見合わせてうなずいた。
亮の背中をポンと叩くと、亮もオレの背中を叩き返してきた。ジョーゴの前のいつもの合図だ。オムツ履いてた頃からの仲だから、こういう時、亮は何も言わなくても通じる。
コウモリ達はますます包囲を狭め、スレイの姿はもう見えない。
「行くぞ、亮!」
ふたりでコウモリの竜巻の中に飛び込む。足技でコウモリを蹴り落としていく。両手を地面に付き、回転しながら蹴りを放つ。メイアルーアジコンパッソという技だ。隣で亮は立ったまま回転して蹴りを連続で繰り出し確実に一匹ずつ落としていく。マルテロだ!
「やるなあ、亮!」
オレも続けて蹴りを放つ。自然に亮とリズムが合ってきた。
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