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 蹴りが当たったコウモリは失神して床に落ちていく。死んではいないから、目が覚めればまた復活してしまう。時間との勝負だ。失神している個体が目を覚まさないうちに、コウモリの大群を散らしてスレイを助け出さないと! オレと亮は襲ってくるコウモリを次々に叩き落した。  それにしても数が多すぎる。いくら落としても数が減っている気が全然しない。時間がたつにつれ、最初のほうに落としたコウモリが目を覚まし、また飛び始めてきた。 「ケント! キリがないぜ!」 「分かってる!」  答えながら、頭の周りを飛び回っている一匹を手で払い落す。 ――分かっちゃいるけど、他に手が…… 『ズン ズン ズン カポエラ マタ ウン ズン ズン ズン カポエラ マタ ウン(カポエイラがひとりやっつけた カポエイラが倒した)』  ビリンバウの音色と透き通った歌声。蹴りを放ちながら音の聞こえる方に視線を向けると、コン・ティンが歌いながらふわりと窓から飛び込んでくるところだった。  カポエイラの歌だ。ふうっと亮のまとう空気が変わった。 ――「魅了」されてる! コン・ティンのやつ、オレが命じたとき以外は魅了の力を使っちゃダメだって言ったのに a7b1483f-c450-42cb-85a2-f044cad0bb9e イラスト:鳴上 鳴様
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