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 ヒュンッと風切り音がすると、亮が回転しながら飛び蹴りを放った。バラバラッと音を立てて周囲のコウモリが落ちる。パラフーゾ……だけど、速さも鋭さもさっきまでとは段違いだ。 ――魅了の力だ! ……けど正直、今は助かる!  コン・ティンの歌に合わせて、亮が技を次々に繰り出し、コウモリの数がみるみる減っていく。コウモリの竜巻がくずれ、スレイの手が見えた。 「スレイ!」  名を呼ぶと、スレイの手がこっちに伸びてきた。スレイが出られるように、亮が集中的に手の周辺のコウモリを蹴り落とす。  手を伸ばして、スレイの手首を掴んでひっぱる。 「くっ、重……っ!」  まるで(いかり)を下した船みたいに、ずっしりと重く引っ張ることが出来ない。 ――なんだこれ? スレイの体重だけじゃない!  コウモリ達の隙間から覗き込むとスレイの上に数えきれないほどのコウモリが乗って黒山のようになっている。さっきまで、近づくコウモリをつついて撃退していたクルンは、スレイを羽で包み込んで守るだけしか出来ずにいる。
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