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低い姿勢から回転をかけて、上から足を打ち下ろす!
「ヒュウッ! アウーシバータ!」
亮が歓声をあげた。
赤目のコウモリの背中から、欠片が跳ね飛ぶ。オレはとっさに落ちていく欠片をキャッチした。
握る手に勝手にググっと力が入り、手の中でカシャッと崩れた。ムオイがやったのだろう。手のひらが熱くなる。崩れた欠片がパラパラと砂になって落ちていく。
コウモリの赤目が茶色に戻り、床に落ちた。
スレイとクルンの上に乗っていた他のコウモリ達も順に飛び立ち、群れを成して窓から外に出て行く。
「スレイ!」
スレイは片膝を立てて、体を丸めるようにして座っていた。駆け寄って「大丈夫か?」と尋ねた。
「ウン、アリガト、ケント。クルンも、アリガト」とスレイはクルンの頭を撫でた。
「あ、欠片刺さってた、コウモリ」
スレイが目を回しているコウモリを抱き上げた。
「わぁ。あったかい」
「へえ。コウモリってあったかいんだ! 生きているんだから、当たり前か」
コウモリを覗き込むと、規則的に胸が上下していた。
「生きてる。目を回しているだけみたいだな」
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