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スレイも行ったことがない場所っていうことはつまり、樹の侵食と遺跡の老朽化ですでに建物が崩れて「危険」だから、入ってはいけないって禁止されていた場所、っていうことだ。
スレイの家は、建物に樹が入り込んでるっていう感じだったけど、ここは密林の中に石造りの「何か」がひっそりとある感じ。遺跡というより瓦礫みたい。
「ケント! こっち」
スレイが遺跡の入り口を指さしている。入り口の周りには、模様を刻み付けた石でぐるりと縁どられている。瓦礫でほとんど埋まっているけど、上の方に人が通れそうな隙間がある。
遺跡の中がどうなっているのか、まったく見えない。スレイの家で使っているランタンを懐中電灯代わりに持ってきているが、手に持っていては降りられない。
「真っ暗だな」
魔物が待ち構えているかもしれないと思うと、暗闇の中に突入するのはあまり気が進まない。
「入る前に、中の様子が少しでも分かればいいんだけど……」
オレのひとりごとを聞きつけたのか、クルンが羽をバサバサと激しくばたつかせて、首を横に振った。
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