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せめて中を少しでも見てから入ろうと、石から入り口の上に飛び移って、屋根部分から腹ばいになって内部を覗き込んでみる。  遺跡の中のひんやりと冷たい空気が顔を包み込んだ。暑くないのは嬉しいけど、外とは違うってはっきり言われているみたいだ。それに何より……。 ――やっぱり、ぜんっぜん、何も見えない!  遺跡に顔を突っ込んでいると、行きたくない気持ちがどんどん大きくなってくるので、オレは慌てて腹筋を使って顔をあげると、頭と足を入れ替えた。足を下ろして、入口の上の淵にぶら下がってから手を放して、遺跡の中に飛び降りる作戦だ。学校の校庭にある「うんてい」にぶら下がると思えば、難しいことじゃない……はずっ! ――うー、一人で突入するなんてやっぱり怖い! 「早く行けよ、ケント」 「亮~、お前、自分は一番は嫌だって拒否したくせに、ズルいぞ」  オレだって怖いんだぞ、と言いたいところだけど、そんなことを言えばスレイが自分が行く、と言い出しかねないからガマンだ。 ――仕方ない。行くか……
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