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「行ってくる!」とクルンに声をかけ、足を前に踏み出した。
コウモリ君が先導するように、前を飛んでいく。オレはその後を追いかける形で歩いているんだけど、背中に亮がべったり張り付いてる。コン・ティンはオレの右側、スレイが左側にいる。コン・ティンが怯えているのとは対照的に、スレイは暗いところが怖くないのか、キョロキョロ周りを見回しながら、歩いていく。スレイが壁に何か見つけたのか、立ち止まった。
「ここ。文字、あるよ」
「本当だ。読める? スレイ」
「ン。ええっとぉ。汝、この線を越えるべからず」
「か、帰ろう」
「亮! アムリタを探すんだろ」
「だってさー、なんか危険な臭いがプンプンするぞ」
「大丈夫だって。ホラ、行くぞ!」
『か、帰りましょう、我が主』
「コン・ティンまで! うそだろ?」
『すみません。ですが、ここはデバターの聖域です』
コン・ティンはくずれるように座り込んだ。苦しそうに顔を歪めている。
『うちを敵とみなしたデバターが、『支配』してくるのです。うちはもうこれ以上は歩けません』
「コン・ティンさん、大丈夫?」
亮がコン・ティンに駆け寄った。
「オレが背負いますよ」
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