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オレが話しているのは日本語(の断片)だったけど、スレイには意味がわかったみたいだ。スレイの隣にいる鳥の尾羽には、見覚えのあるレース模様がある。
「あっ! お前っ!」
『ええーん、うっく…ヒック』
しかもこの泣き声って、ばあちゃん家で聞こえた……!
「ちょと、クルン。わたしの泣き真似、だめ! はずかしいよっ」
スレイが慌ててクルンのくちばしを手でふさぐ。あわてっぷりがかわいい。それで少し落ち着いた。すーはーと深呼吸する。
「あのさ、オレ、この鳥がキミの、ええとスレイの泣き真似してて、それで追いかけてたら崖から落ちて、ここに来ちゃったんだ。スレイ、元気みたいだし、もう帰るよ。どうやって帰ればいい?」
スレイとクルンは顔を見合わせた。
「あー、えーと、ね? ケント、汗かいている。暑い?」
「あ」
スレイはノースリーブの白いワンピースみたいな服一枚だ。オレはというと、スノーブーツにダウンコート、裏ボア生地のズボンだ。なにしろ雪山から来たんだから。
「脱ぐ、ね」
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