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「ムオイ! スレイのデバターを目覚めさせるのはダメだぞ!」 『見よ。スレイのデバターが目覚めかかっている』  チラリとスレイに視線を走らせる。さっきよりもデバターの表出を示す明滅が強くなっている。 「マズい……」  焦ったせいで、飛んできた一本の気根をさばききれず、両腕をクロスして受けた。平らにならされていないレンガのわずかな凹凸に足指を引っ掛け踏みしめた足が、それでもズズズッと後ろに押されて滑る。スニーカーの靴底から嫌な臭いが立ちのぼる。摩擦でゴムが焼けたんだ。  木の硬さと蔓の柔らかさをあわせもった気根が、オレのシャツの袖を切り裂いた。ぱっくり裂けた皮膚から血が噴き出す。 ――骨は大丈夫、だけど……っ、 「痛ってえええええっ!」 『我にまかせよ。早くしろ。さもなければデバターが目覚めるぞ』 「逆だろ? デバターを目覚めさせて気根をやっつけるつもりなんだろ?!」 『我は約束を守る』 『我が主っ! 魔物の言うことなど信じてはいけません!』 『安心せよ。我は約束は守る。それにケントが死んでは我も生きられぬ。しかし我は欲望を喰らう魔物。願わねば、力は貸せぬ。……願え』
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