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 オレはひざまずき、幹に手を触れた。デバターはアムリタを守ってきた。その魂をスレイの一族が受け継いでいる。  それなら……。オレは樹に問いかけた。 ――秘薬アムリタはどこにある?  樹からの答えはない。 ――そりゃ、そうか。この樹がデバターの残滓を宿しているなら、きっとアムリタのある場所を知っていると思ったんだけど。 「なあ、デバターは神と魔物、どちらからもアムリタを隠してきたんだろ? なぜ神からも隠さなければならなかったんだ? バランスが大事ってことなのかな。まったく同じ力で綱引きの紐を引っ張り合うみたいに。善と悪。神と魔物。オレにはよくわかんないけど。  でも今、仏像は壊され魔物の力が強くなってる。綱引きの均衡が破られようとしてるんだ。魔物の王ラーフはアムリタを狙っている。ラーフにアムリタを渡してはいけないってことは間違いないよな。  神と魔物、どちらも手に入れてはいけないのなら、アムリタはなんのためにあるんだ?」  返事はない。  ふぅ、とため息をついて立ち上がった。 「とりあえず、攻撃は止んだし……行くか」
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