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「いってぇ~! あっ、クルン! 鳥目だから遺跡の外にいたんじゃなかったのか?」 「ケント! 遺跡、崩れ始めてる! クルン、崩れた天井から飛び込んできて、教えてくれた」 「は? 遺跡が崩れる? それってどういう……」 『我が主。理由は分かりませんが、樹に宿っていたデバターの残滓が消えました。攻撃されなくなったのはいいのですが、老朽化した遺跡を支えていたこの樹が枯れてしまったので、建物が崩れ始めたようです』 「樹が? なんで急に枯れたんだろう?」  樹に手を触れて、ハッとした。むき出しになった幹がまっ白く変色している。気根もだらりと垂れ、生命の息吹はまったく感じられない。 「これって……。もしかして、もうずっと前に……?」 「はい。枯れていたのですね。けれどデバターが保たせていたのでしょう。どうりでうちの命令を聞かなかったはずです。死んでいる樹に、うちの声が届くわけがないのですから」 「そんな」  樹に手を触れた。なでるとカサカサと乾いた音がした。攻撃されたのに、デバターの残滓が消えてしまったことが悲しかった。
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