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 光の人は美しかった。あの光はデバターの心だ。純粋な思いで何百年もアムリタを守ってきたんだ。そう思うと、胸がキューッと痛くなる。 「わっ! ケント、泣いてんの?」 「え……?」  亮の声にハッとして、頬を手の甲でゴシゴシこすったら濡れていた。 ――オレ、泣いてたのか。 「ケント、大丈夫?」 『我が主。うちの胸をお貸ししましょうか?』 「ダメー!」  スレイが叫んだ。 「わたしの……」と、言いかけて、自分のペタンコ胸と、コン・ティンが自慢気にツンと突き出している胸とを見比べて、スレイは唇を「むぅー」と突き出した。  つられて見てしまったスレイの胸は、もう赤く光っていなかった。スレイの中のデバターは残滓が消えたことでまた眠りについたのだろう。 「ははっ!」  ホッとしたのとスレイのむくれた顔がかわいくて、オレは笑ってしまった。 「おいっ! 笑ってる場合じゃないぞ。早く脱出しようぜ」  亮はもう猶予はないというように、気根が垂れ下がっている出口に向かって走り出した。幹がミシミシ悲鳴をあげている。折れた幹の隙間から、パラパラと砕けた石が降ってくる。
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