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「へ?」
「このパスせっかくもらったんだし、有効期間中は付き合おうよ。で、最終日に別れるか決めよう」
大雅が見せてくれたチケットは、特別デザインのものである上、名前が入っている。
転売も譲渡も出来ないのだ。
そんなのがなくても、今やもう別れたくないと思っているのに。
「……しょうがないなあ。じゃあ一年、延期ね」
そんな可愛げない言葉を返した。
「じゃ、これから一年よろしく記念に」
「へ⁉︎あ、いやっ」
狼狽える私に、大雅は有無を言わさない笑顔を向ける。
恥ずかしさを堪えて、えいっ、と目の前に迫るスプーンを迎え入れた。
バニラより甘い大雅の想いは、これから先、もっと知ることになる。
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