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「それでは記念品として年間パスのペアチケットと、こちらの記念グッズを贈呈いたします」
状況についていけない私は、スタッフさんやテンションが上がっている大雅に誘導されるまま、記念品の贈呈を受けている。
記念品はお揃いのキツネのカチューシャ。
スタッフさんに言われるがまま、お互いに装着し合う。
「仲良いですね」「お似合いですね」
スタッフさんがそう話してる声が聞こえてくる。
いや、そちらがやらせてるんじゃない。
「このまま記念写真撮りますね」
「えっ⁉︎」
スタッフさんにカメラを向けられて、私は思わず大声が出た。
「絵麻、どうした?」
大雅が心配そうに私の顔を覗き込む。
「あ、いや、こんな大袈裟になって、恥ずかしいというか……」
これが最後のデートだと思うと、こんな後に残りそうな写真に写りたくない……
「だいじょうぶだよ。どんな表情してても絵麻はかわいく写真に写るよ」
「彼氏さん、素敵な事おっしゃいますね!それではそのままこちら向いてください。はい、チーズ!」
周りばっか盛り上がって、あれよあれよと写真を撮られてしまった。
「それではこちらのお写真は、後ほどフレームを付けてお渡ししますね。記念セレモニーは以上になります。どうぞ一日、楽しんで下さいませ」
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