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「最後……」
大雅がその言葉を聞いて俯いた。
「大雅がいつも私の事を優先してくれるの嬉しいよ。でも、大雅の本当の願いは?いつも私のしたい事ばかり。それじゃあ一緒にいても意味ないじゃない」
大雅が私を優先してくれればくれる程。
私は大雅の事を知れなくなっていった。
本当は何が好きなの?嫌いなの?
「絵麻が俺と別れたい理由は、それ?」
確信をつかれて、思わずビクッとする。
本当はこんな話せず、一日楽しく過ごして終わるつもりだった。
綺麗な想い出になれば。そう思っていた。
でも思わず言ってしまった。ずっと抱えていた想い。
そして一度出てしまった言葉は止まらない。
「そうだよ。私は大雅がいつも私に合わせるのが、もう嫌なの。全部、ぜんぶ!私の希望通りになるのが、かえってさみしくなるよ……」
大雅が私を大切にしてくれてるのはわかってる。
だから私も言えなかった。
「本当は言って欲しかった。どこに行きたいの?何が食べたいの?何がしたいの?何が、欲しいの?」
思っていた事を吐き出したと共に、涙も一緒に零れ落ちた。
大雅と付き合いはじめてから、泣いた事なんてなかった。
私が悲しむ事を、大雅は絶対にしなかったから。
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