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「ケイティちゃんの浴衣姿、本当に似合ってたわ! あなたも見れば良かったのに!」
翌朝の母のテンションはMAXを振り切っていた。
「何だ、そんなにか。俺も見たかったな」
と父も新聞から顔を出して微笑む。
「ママそれ詳しく聞かせて」
幼馴染と通話していたために世紀の瞬間を逃してしまった私は、朝食もそこそこにキッチンで洗い物をしている母ににじりよった。
「いやぁね、こう言っちゃ何だけどお姉ちゃんの百倍は似合ってたわ。もう可愛いのなんのって」
「ママそういうのは写真撮っとかなきゃ駄目なんだよ? 何で撮らなかったわけ? 常識でしょ? 私見れなかったんだよ? トウマと電話してたおかげでケイティの超レアな浴衣姿を見逃したんだよ? ママが見れて友達の私が見れないってどういうこと? てゆうか呼んでよ。呼んでくれたら速攻で飛んで行ったのに」
早口で責めまくる私に怯むこともなく、笑顔の母は言った。
「だけど、花火大会の日に見れるじゃない」
ケイティの浴衣姿は、花火の日までお預けか。昨日お目にかかれなかったのは残念だけど、お陰で楽しみが増えた。
ケイティはそろそろ起きる頃だ。寝起きの顔を拝んでいつものように萌えまくりたかったけれど、これからミコトと会う約束をしていた私は、残った朝食をかきこんで身支度をして家を出た。
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