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浴衣姿のケイティを今すぐ褒めちぎりたい気持ちでいっぱいだったけれど、私の貧しいボキャブラリーでこの美しさを表現しきれる自信がなかったのと、なるべくトウマとケイティを一緒にいさせてあげたいと思い、二人が並んで歩く後ろをミコトと並んで歩いた。昨日会ったとき、トウマとケイティのことはミコトに話していた。ミコトは「じゃあ協力しなきゃだね」と言ってくれた。
前を歩く二人は楽しげに話をしている。素朴で見るからに優しそうな雰囲気のトウマだから、ケイティもそんなに緊張していないみたいだ。
「まさか、レンカが外国に行っちゃうなんてね」
不意にミコトがつぶやいた。
「自分でもビックリしてる」
「何でフランスに? アメリカとかでもよくない?」
「どうしてもフランスが良かったの」
幼い頃から憧れていた国だった。そして、通いたいと思う学校があった。だからフランスに決めた。フランス語は難しかったけど、徹夜で勉強した。最初は不安だったけれど、クラスメイトに恵まれて今は楽しくやっている。
「あなたって昔から、変なところで肝すわってるよね」
「そう?」
「うん。引っ込み思案に見えて、時々びっくりするくらい強いんだよ」
母にも同じことを言われたことがある。自分では分からないけれど、私は臆病に見えて、思い立ったらやらずにいられないような、妙な行動力があるらしい。
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