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玄関が向こう側から開けられて、そこに立っていたのは、姉だった。
「え? どうしたの?」
「寝てると思って勝手に入ってごめん。
会社行くの? 舞は? うつった? 寝てるの?」
「え? 舞は、学校行ったよ。
どうして、来たの?」
「どうして来たって、きのうのアンタと約束したでしょ?
ほら、きのう、アンタから預かった鍵。」
鍵を差し出しながら、姉は私の顔を覗き込む。
「嫌だ。 デジャヴ。 あの日のお母さんみたい。」
…あの日のお母さん。
姉の言葉で、私の頭の中にあの日がフラッシュバックする。
私が心の支えにして来たあの日のコトをお母さんは死ぬ時になるまで、思い出さなかった。
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