【乾杯】

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僕の名前は西塚 翼(にしづか つばさ)。 僕の母は僕が幼い頃に離婚をして、僕を託児所に預けてナイトクラブで働いていた。 僕は、その託児所が嫌で嫌で仕方がなかった。 何故なら、その託児所に預けられた子供達は意地が悪くて僕は、極力、被害に合わないように……と、身を潜めなければならなかったからだ。 やがて母は昼間の仕事に就くようになった。 僕はホッとした。 あの託児所にだけは戻りたくないと母に伝えると、母は僕を保育園に預けて仕事へ行く。 あの託児所に比べれば保育園は天国の様だった。 純新無垢な子供達。 忙しくとも優しい保育園の先生達。 僕にとってはまさに天国と呼べる場所であった。 母親と離れなくないと泣く子供を僕は羨ましく思いながら見ていた。 何故なら僕は……母の事が大嫌いだったからだ。
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