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え?何?
壁にかかっている時計の針は2時を少し過ぎている。こんな時間に親が帰って来る筈はないし、家政婦も決められた曜日しか来た事はない。
誰?
死にたいと言ったから誰か殺しに来たとか?死にたいのと殺されるのは訳が違うんだけど。
心臓が今まで経験した事のない程早く動いているのを感じた。私は胸を押さえながらキッチンにしゃがみ息をひそめた。
殺されるなんて絶対嫌だ!
廊下を歩く音が聞こえる。リビングのドアを開けっぱなしだった事を後悔する。入ってくるタイミングが分からない。
私は頭を抱え小さく丸くなり目を瞑った。
「すみませ〜ん。急遽ご依頼頂きました家政婦ですぅ。誰もいらっしゃいませんか〜?お嬢さんがいらっしゃるって聞いてたんですが〜」
高くて大きな声は誰もいないリビングによく響く。
家政婦?お母さんが頼んだって事?私は気まずい気分でキッチンから顔を出した。
「うわぁ〜!そんな所にいらしたんですか?」
胸を抑える家政婦の顔を見て、私は一瞬息が止まった。
そこには私が立っていたから。
その家政婦は私と瓜二つだったのだ。
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