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誕生日
今日は私の17回目の誕生日。
締め切ったカーテンから漏れた光が私の目を直撃する。太陽なんて重い雲が覆い隠せばいいのに。
「はぁ〜なんで生きてるんだろう…」
私は布団に顔を埋めながら今日初めての言葉を発した。
グゥ〜
その後すぐ私のお腹が大きな音で空腹を訴える。
「なんでお腹はすくんだよ…」
掛け布団を足蹴飛ばしすと、ベッドから落ちた毛布を頭からすっぽり被り、部屋のドアを開けた。
廊下を毛布を引きづりながらリビングに入ると目の前には大きい窓が広がっている。そこには気持ちいい程の青い空とおもちゃみたいなビルやら車が見渡せる。
「チッ」
人気のない冷たいリビングを明るく照らす太陽を睨みつけながら厚いカーテンを閉めた。
薄暗くなったリビングからカウンターキッチンに入り無駄に大きい冷蔵庫を開けると料理名が書かれたタッパーが綺麗に並んでいる。
どれも美味しいけど、お母さんの味じゃない。
1週間に3回来る家政婦が作っているのだ。
お陰で常に部屋もピカピカ、食べ物も困らない。
私の家は共働き、お父さんもお母さんも医師。何があっても仕事は休まない。
実の子供が高校辞めても、赤の他人の患者様が大事。
「私なんて死んじゃえばいいのに…」
そう呟くと開けたタッパーから南瓜の煮物を摘み口のなかに放り込んだ。
それと同時に家の鍵が開く音がした。
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