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「これからベッドの業者と訪問介護の事業所が来ます。多分埃っぽいだけだから、ヘルパーの掃除だけで充分でしょう」 「うち、広いですけど」  大丈夫ですか、という言葉が声にならなかったが、山口は気にした様子もなく頷いた。 「知ってますよ。でもトイレとかキッチンとか、最低限のところですよ。三人ぐらい連れてくるって言ってましたから何とかなるでしょ」  山口は玄関先を見回しながら言った。何気ない表情だが、七年前のケアマネージャー交代で初めて訪れた時、エントランスの広さに圧倒されたのか天井を見上げて立ち尽くしていた。  裕が生まれ育った家は明治期に外国人が建てたもので、実際に外国人が生活した時期もあるという。その外国人は海を眺めながら生活がしたかったのか、二階の部屋やバルコニーからは海を見渡すことができるようになっていた。
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