貝原凪沙

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 卒業した私は実家に戻り、親の勧める十歳年上の医者と結婚した。  今までと変わらずお金に困ることのない生活。でも姑とマザコンの夫との三人暮らしは、息が上手くできなくて苦しい。  幸い、すぐに妊娠したので私は子育てに集中することにした。女の子が生まれ、美波と名付けた。子供は本当に可愛い。年の近い姉弟が欲しいからすぐに二人目を作った。今度は男の子、秀人と名付けた。  男の子の誕生に姑は大喜びし、自分の子のように扱い始めた。   「この子は我が家の跡取りよ。必ず医者にさせないといけないの。凪沙さん、あなたはあまり頭の出来がよろしくないから、この子の教育は私に任せなさい」    私立受験に落ちた私のことを、姑も夫もバカにしているのだ。悔しいけど言い返せない。    私はストレスが募ると高校時代の親友奈津を呼び出す。彼女はずっとこの地元で暮らし、高校の同級生と結婚している。  子供の多い賃貸マンションに住んでいる奈津は、いつもマンション下の広場で子供たちを遊ばせていて、ママ友と賑やかに過ごしているらしい。だから、私と会う時はママ友に子供を預けて来てくれる。持ちつ持たれつの関係なんだそうだ。  私は人の子を預かるのも預けるのも絶対に嫌だけど。シッターさんを雇えばいいのにね。そんなお金無いんだろうな。可哀想に。
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