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親友の家族
結局あの後すぐにチャイムが鳴って能力についてはちゃんと聞けなかった。
放課後、教科書をカバンに詰めている蛍の肩をガッと組んで引き寄せた。
「なぁ蛍〜、今日お前ん家行ってい?」
「うん、いいよ」
「サンキューッ!お前の兄ちゃんに会ってみたかったんだよな〜」
そんな以外な言葉に目を丸くした。
「え、なんで?」
「だってお前にすげぇ距離近くて意地悪なんだろ?篠原という奴がいながら他の奴と……あーっ、すげぇ好き!」
三角関係もありだよな?!色々妄想を繰り広げていると、不思議そうに首を傾げた。
「……?じゃあ行こっか」
「はーい!マジで楽しみ」
鼻歌を歌いながら蛍の後ろを歩いた。帰り道は遥輝さんの話ばかりした。泊まりたいって言ったら、両親心配しない?って聞いてきた。んなのとっくに許可取ってるに決まってんだろ〜!泊まる気満々で来たんだからなっ!
何かがおかしかったのかクスクス笑い出した。
「ここだよ」
蛍が玄関を開けてリビングに通される。蛍のお母さんは晩御飯の支度をしていて、遥輝さんはスマホを眺めていた。
「ただいま、友達連れてきたよ」
言うと、2人とも振り返ってニコッと微笑んだ。わ、スッゲー優しそう!
「初めまして!初音 真白っていいます!蛍とは親友です!」
思っていたけれど、口に出すのは初めてで少し照れ臭い。
「真白〜っ!」
嬉しかったのか、突然勢いよくギュッと抱きしめられた。勢いで少しフラつく。そんなところも可愛い。流石俺の親友。
「俺の事親友だって思ってくれてるの?」
泣きそうな顔でそんな事を聞かれる。
「当たり前だろ?」
ニッと笑って見せると、上げていた顔を俺の首元に顔を埋めた。
「うぅ、大好きっ」
可愛さにほっこりしていると、声が掛かった。
「おーい、いつまでいちゃついてんだ?」
遥輝さんがジトッとした目で俺たちを見た。
「あっ、ごめん!」
恥ずかしいのか、カァッと顔を赤くして慌てて離れてしまった。
んん、これが嫉妬というやつか。
「おぉっ…!これが兄ちゃんの嫉妬か……いいな。すげぇいいっ!」
「お母さん、真白泊まるって」
「はいはい」
「あ、圭人も泊まるってよ」
遥輝さんが思い出したように言った。
「え……」
蛍が驚いた顔をしていると突然ガチャっとリビングの扉をが開いた。蛍を見た途端目を輝かせて小走りで寄ってきて抱きついた。
篠原って蛍のこと好きすぎだよなー。そーいうとこ好きだけど。
「あっ!蛍!……と、初音……」
俺に気づくと、冷たい目線を送る。
つか、篠原風呂上がりか?イイ身体してるんだな。俺筋肉ないし羨ましい。
蛍も気づいたのか、あたふたした。ホント何してても可愛いよな。
「あ、…わ、っ……圭ちゃんっ……??」
「ん?何?」
ニコニコとスゲー幸せそうに蛍を見る。
「な、んで裸??」
「ふふ、お風呂入ってたんだよ」
「そ、そっか……」
あ、また俯いた。顔赤いんだろうな。そんな風に思いながら、ニヤニヤを堪える。
「蛍、部屋行こ?」
水の滴ったイイ男が誘ってるし。サイコー過ぎだろ!
「……?うん、?いいよ?」
「うわーっ!!2人とも俺の理想過ぎてやべぇっ!!」
我慢できずに大声で叫んだ。篠原には多少下心があるんだろうけどそれに気づかない鈍感な所が良過ぎる!
「?!真白?」
そんな様子を見て遥輝さんが、もうダメだと言いたげに、くくっと肩を揺らして笑い始めた。
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