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親友のお兄さん
「蛍の友達クセ強ぇなぁ」
くくっと肩を揺らして笑い続ける。
「圭人といい親友といい、あー面白ぇ」
篠原は変だけど俺は変じゃないと思うけど。
「なぁ初音くん、ちょっと話さない?」
やっと笑いを収めた遥輝さんがポンッと俺の肩を叩いた。
「はい!」
「圭人、上行ってこれば?」
遥輝さんがパチンとウィンクをした。案の定、篠原はスゲー嬉しそうにした。
俺たちは気にせずどうぞヤってください。そんな風に思いながら2人を見送った。
「座りなよ」
言われて、隣に座るとまたクスクス笑い出した。
「あ、隣?」
「向かいの方が良かったっスか?」
「んー…いや、ここでいいよ。」
言われて、お母さんが出してくれた、まだ少し熱いクッキーを少し齧る。
「あ、これ美味しい!」
「ふふ、ありがとう。いつの間にかお菓子作りが趣味になっててよく作ってるから自身あるのよ」
「店出していいと思いますよ」
そう言うと、嬉しそうに笑った。
「あら、お世辞が上手なのね」
「いやいや、お世辞じゃないっスよ?マジで美味しいです!」
「ふふ、じゃあたまにウチに食べに来てもらおうかしら」
「いいんですか?」
「もちろん」
「是非来させてもらいます!」
「ふふ、元気のいい子ね。元気いっぱいな子は大好きよ。見てて楽しいもの」
お母さんはキッチンで手を洗って、向かい側に座った。
机に肘をついて、ふぅ、とため息をついた。
「遥輝は蛍イジメてばっかしないで友達やら彼女つくんなさいよっ」
そんな言葉に目を丸くした。
「え、遥輝さん彼女居ないんスか?」
「悪いか?」
困った様に笑って、くしゃくしゃと俺の頭を撫でた。
「いや、悪いっつーか…遥輝さんイケメンだから彼女超居てそうだなーって」
「まぁ確かに見た目褒められることあるけど女に興味ねぇの」
「…てことは男に興味あるんスか?」
「なんでだよっ」
そんな風に言う俺に苦笑した。
「え、そうだったらサイコーですよ?」
「くくっ、初音くんはそこにしか興味ねぇのな」
「いやいや、他の事も興味ありますよ?!俺を変態みたいに言わないでくださいよっ」
「実際変態だろ」
そ、そうか?腐男子・女子みんなが変態とは限らない!
まぁ俺は変態かも知れないけど。
ギクッとしていると、プッと吹き出して、『ほらな』って笑われた。
「あっ、そうだ。遥輝」
「なに?」
「アンタ真白くんに友達になってもらいなさいよ!」
『名案だわ〜』なんて言いながら、楽しそうに遥輝さんを見つめた。
「はぁ?初音くんに迷惑だろ?」
「いえ!俺は全然!…寧ろ友達になれるなら、なりたいっス!」
「…マジ?」
「はい!」
「良かった〜。この子訳アリだから恋人も友達も居ないのよっ」
んも〜、と困った様に言って、それから『真白くんありがとう』って笑った。
「いえ、こちらこそありがとうって感じです!」
そう言いながら、心の中では『訳アリとは?』と気になって仕方がなかったけれど、言わないってことは言いたくないって事なんだろうし黙っていることにした。
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